2023.08.03
- コラム
技術士筆記試験対策(道路)Ⅲ選択科目
技術士試験のうち、技術士第二次試験の筆記試験は、9割近くの受験者が不合格になる非常に難しい試験です。
筆記試験は、マークシート等の試験と異なり、試験で求められる事項や勉強の方法が異なるため、戸惑う方が多いと思います。
ここでは、道路のⅢ選択科目について筆記試験に向けた勉強方法について説明します。
ポイントは次のとおりです。
・採点者は、答案を感覚ではなく、採点マニュアルに従って採点している
・答案に記載することは、自分が知っていることではなく、国(国土交通省本省)の取り組み
・やみくもに勉強するのではなく、頻出のテーマ、キーワードに絞っておさえる
・キーワードは暗記するのではなく、深く理解する
・Ⅲ選択科目の頻出テーマであり、必須科目でも出題される生産性向上・雇用の改善、維持管理等をおさえる
なお、私ども技術士の学校では筆記試験対策講座を開催していますが、「道路」では合格率60%(令和元年度〜令和4年度)、女性も「建設部門」全体で合格率72%(令和元年度〜令和5年度)と多くの方が筆記試験を通過しています。そして、講座の受講を検討している方に向けて、オンライン上で無料の体験クラスも開催しています。
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道路 Ⅲ選択科目対策 重要テーマ
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1.採点者は、答案を感覚ではなく、採点マニュアルに従って採点している
筆記試験は記述式の試験のため、採点者は答案を感覚で採点していると思うかもしれません。
しかし、技術士分科会試験部会の資料では、「作問委員は、採点委員が当該問題の答案採点を的確かつ効率的に行えるよう、出題の目的、採点基準等を採点マニュアルに明確に示すこと。」とあり、採点マニュアルの存在が明示されています。
答案に記載されている解決策が適切かどうかを一つ一つ採点者が自分で適切かどうかを判断していては、採点が非常に大変になります。採点者の負担を考えると、採点マニュアルの中に、答案に記載すべき解決策等のキーワードが事前にある程度定められていると推測されます。
このため、答案には、私たちが知っていることではなく、採点マニュアルに記載されているような解決策等のキーワードを記載する必要があります。
2.技術士試験に求められる専門知識とは?
筆記試験に向けては当然、専門知識(キーワード)が必要になります。
技術士試験は、国家資格であり、技術士にふさわしい人を選定する厳格な試験になります。
上記の採点マニュアルを作成するときに、採点マニュアルの作成者は、自分たちの知っていることだけで、加点されるキーワードを定めていないと思います。各出題テーマについて、主に国(国土交通省本省等)の検討内容等を踏まえて、検討や議論を重ねて加点されるキーワードを定めていることと考えます。
これらの専門知識ですが、Ⅱ選択科目で求められる専門知識は実務レベルであり、受験生によっては日常の実務を通じて、既に十分な専門知識を身につけているかもしれません。
しかし、Ⅰ必須科目、Ⅲ選択科目で求められる専門知識(キーワード)は、例えば、「コンパクト・プラス・ネットワーク」等のような国(国土交通省本省等)が重要と考える取り組みになります。国の取り組みについて、日常の実務で触れている人は少なく、多くの受験生は改めてキーワードを把握しておく必要があると考えます。
特に、過去の筆記試験で記述式の成績が悪かった人は、適切なキーワードが押さえられていない可能性があります。
このような場合は、過去問から出題テーマを把握して、そのテーマで用いる専門知識のキーワードを押さえておく必要があります。
3.キーワードの数は必ずしも多くなくていいが、重要なキーワードは深く理解する
キーワードは、関係省庁のガイドライン、マニュアル、審議会、委員会の検討資料等から把握するのが正攻法になります。また、キーワードを把握するだけであれば、合格者の再現答案からキーワードを把握するという方法もあります。
ただし、多用されているキーワードは、それほど多くはないので安心していただければと思います。むしろ、キーワードをたくさん知っていることよりも、多用されている重要なキーワードを深く理解し、問題文に応じて適切に記述できるようになることの方が重要になります。
また、キーワードとなる取り組みは内容だけではなく、実施に当たっての技術的課題、技術的提案まで求められる可能性があり、このことを想定して準備する必要があると考えます。
なお、キーワードの内容を理解するためには、合格答案だけではなく、その他、ガイドライン等の資料でキーワードの内容を確認しておく必要があります。
4.道路の重要テーマ
道路の過去問(Ⅲ選択科目)をよく分析してみると、次のテーマで出題されていることが分かります。
○道路の維持管理
※R4、 R1、H28、H25に出題
○災害時の道路・物流の機能確保
※R2、H29、H26に出題
○高速道路の機能強化
※R5、R3、H30、H29、H27、H26に出題
○多様化する道路のニーズ
※R5、R4に出題
○降雪による車両滞留
※R3、H30に出題
○自転車の活用の推進
※R2に出題
○交通マネジメント
※R1に出題
等
5.道路の各テーマの過去問等
道路で、よく出題されるテーマとして、道路の維持管理、災害時の道路・物流の機能確保、高速道路の機能強化、多様化する道路のニーズについて過去問を紹介します。
①「道路の維持管理」
過去問の例を紹介します。
過去問の例【R4建設部門 道路】Ⅲ-2
我が国の高速道路は,供用からの経過年数が30年以上の区間が半分を超え,老朽化が進展している。こうした中,平成24年の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を受け,平成26年度以降,定期点検結果に基づく修繕や更新事業を進めながら,2巡目の定期点検を実施しているところであり,これらの取組を通じて新たな知見も得られている。
このような状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。
(1)高速道路を取り巻く国土・経済社会の現状等を踏まえ,その機能を将来にわたり維持するために,技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
過去問の例【R1建設部門 道路】Ⅲ-2
橋梁,トンネル等の道路構造物については,平成25年から平成26年にかけての道路法,同施行令及び同施行規則の改正を経て,平成26年度に策定された定期点検要領等に沿って,各道路管理者において点検が実施されており,平成30年度で一巡目の定期点検が完了したところである。道路構造物のメンテナンスを担当する技術者として,以下の問いに答えよ。
(1) 地方公共団体が,二巡目となる道路橋の定期点検を実施するに当たって,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) (2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
以下に答案に記述すべき重要キーワードの例を紹介します。高得点を取るためには、これらのキーワードを用いて答案を作成することが重要になります。
<答案に記述すべき重要キーワードの例>
・予防保全型維持管理への転換
・メンテナンスサイクルの推進
・アセットマネジメント
等
②「災害時の道路・物流の機能確保」
過去問の例を紹介します。
過去問の例【R2建設部門 道路】Ⅲ-2
甚大な被害をもたらした東日本大震災から9年が経過したが,その後も,大きな地震や集中的な豪雨,豪雪による甚大な災害が発生しており,また今後も首都直下地震や南海トラフ巨大地震が高い確率で発生することが予想されている。このような状況を踏まえ,道路の防災対策に携わる技術者として,以下の問いに答えよ。
(1) 激甚化・頻発化する災害に備え,道路が発災時に救命救急・復旧活動や広域的な物資の輸送等に貢献し続けるため,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。
(2) 前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) 前問(2)で示したすべての解決策を実行した上で生じる波及効果と,新たな懸案事項への対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
以下に答案に記述すべき重要キーワードの例を紹介します。高得点を取るためには、これらのキーワードを用いて答案を作成することが重要になります。
<答案に記述すべき重要キーワードの例>
・道路ネットワークの構築
・国道とのダブルネットワーク化
・ミッシングリンクの解消
等
災害時の道路・物流の機能確保については、災害に強いネットワーク構築を推進する「持続可能な国土幹線道路システムの構築に向けた取組中間とりまとめ」(社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会)が策定されています。例えば、本資料を参考に、重要キーワードの理解を深めることが重要になります。
出典: 「持続可能な国土幹線道路システムの構築に向けた取組中間とりまとめ」(社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会)
③「高速道路の機能強化」
過去問の例を紹介します。
過去問の例【R5建設部門 道路】Ⅲ-2
近年,社会・経済情勢の変化や国民の価値観,ニーズの多様化に対応するため,高速道路のサービスエリア(SA),パーキングエリア(PA)(以下「SA·PA」という。)は単に休憩するだけの機能だけでなく,多機能化が進んでいる。今後,高速道路が社会的ニーズの変化に対応した進化・改良を遂げていくためには,SA·PAについても,求められる機能などを考慮し,適時適切な対策を実施していく必要がある。このような状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。
(1)SA·PAについて,道路に携わる技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
過去問の例【R3建設部門 道路】Ⅲ-2
高速道路ネットワークの進展に伴い,社会経済活動における高速道路の役割の重要性は増しており,持続的な経済成長や国際競争力の強化を図るため,高速道路をより効率的,効果的に活用していくことが重要である。しかし,我が国では,限られた財源の中でネットワークを繋げることを第一に高速道路の整備を進めてきた結果,開通延長の約4割が暫定2車線区間となっており,諸外国にも例を見ない状況にある。
このような状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。
(1) 暫定2車線について,技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。
(2) 抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3) すべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
以下に答案に記述すべき重要キーワードの例を紹介します。高得点を取るためには、これらのキーワードを用いて答案を作成することが重要になります。
<答案に記述すべき重要キーワードの例>
・時間信頼性の確保
・安全性の確保
・災害時の道路・物流機能の確保
等
高速道路の機能強化では、暫定2車線の4車線化を計画的に推進しています。例えば、「道路行政を取り巻く最近の情勢について」(国土交通省)等を参考に、重要キーワードの理解を深めることが重要になります。
出典: 「道路行政を取り巻く最近の情勢について」(令和3年5月31日 国土交通省 道路局)
④「多様化する道路のニーズ」
過去問の例を紹介します。
過去問の例【R5建設部門 道路】Ⅲ-1
我が国では,交通事故のない社会を目指し,様々な取組が進められているが,近年においては,時代のニーズに応える交通安全の取組が一層求められている。このような状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。
(1)道路における交通安全に係る現状等を踏まえ,交通安全の取組について,道路に携わる技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
過去問の例【R4建設部門 道路】Ⅲ-2
道路は,交通ネットワークの要として,人の移動や物資の輸送に欠かすことのできない基本的な社会資本であり,また、公共空間としても重要な役割を果たしている。近年,社会・経済情勢の変化,デジタル技術やモビリティ分野の進展等により,道路に対するニーズが多様化し,こうしたニーズへの対応が課題となっている。このような状況を踏まえて,道路に携わる技術者として,以下の問いに答えよ。
(1) 道路に対するニーズについて,技術者としての立場で多面的な観点から,近年の多様化している道路へのニーズを3つ抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,そのニーズの内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した道路へのニーズのうち,最も重要と考えるニーズを1つ挙げ,そのニーズに対する複数の対応策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての対応策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
令和4年3月に「多様なニーズに応える道路 ガイドライン」(国土交通省)が策定されました。この中では、道路への多様なニーズの事例として、安全・安心に利用できる道路通行機能、安全・安心な空間を活用した賑わい空間創出、道路を訪れるすべての人々が楽しめる空間創出、多様なモビリティや物流、などがあげられています。このガイドラインを参考に、重要キーワードの理解を深めることが重要になります。
出典: 「多様なニーズに応える道路 ガイドライン 概要版」(国土交通省)
筆記試験は、9割近くの受験者が不合格になる非常に難しい試験です。さらに、受験者から採点方法がみえにくいため、対策・改善の方向性等がわかりにくい試験です。対策・改善の方向性等がわからなければ、何度受験しても不合格になってしまいます。
一方、「道路」では、技術士の学校の合格率は60%(令和元年度〜令和4年度)、女性も「建設部門」全体で合格率72%(令和元年度〜令和5年度)と多くの方が筆記試験を通過しています。 勉強の方法がわからない方、早く合格したい方、試験にあまり時間をかけたくない方等は、技術士の学校の筆記試験対策講座を受講してみるのはいかがでしょうか。
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技術士の学校の合格実績(道路)
【令和元年度〜令和4年度 筆記試験合格実績】
(道路)
通常の合格率10%程度
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技術士の学校の合格実績(建設部門)【女性】
【令和元年度〜令和5年度 筆記試験合格実績】
(建設部門)【女性】
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技術士試験は、厳格な国家試験で、筆記試験は合格率10%程度の非常に難しい試験です。
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カリキュラム開発(建設部門)
下所 諭 (げしょ さとし)
技術士(建設部門、総合技術監理部門)
大手建設コンサルタント会社で13年間勤務。広島大学 客員准教授。
大手建設コンサルタント会社在籍時から含めて、10年以上、技術士の取得支援に携わっています。知見が集積する大手建設コンサルタント会社等でないと合格が難しいですが、多くの受講生を技術士の取得に導いています。
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